がん検診・予防の体験文の紹介
平成22度 入賞作品
第1位 『誕生日には、がん検診を!』 作者名 鈴木 優子
誕生日には、自分のメンテナンスをします。
自分を産んでくれた母に感謝するとともに、自分の体を大事にする日としてその日を過ごします。具体的には、歯科検診、美容院、アロママッサージなどにいきます。2年前から、そのメンテナンス項目に子宮がん検診が加わりました。
今までは、自分は癌家系ではないしと変な安心感があり、自分は看護師で癌患者様と関わる機会もあったのに自分の身に起こることとはかけ離れている気が心のどこかでしていました。
2年前、当時は主婦や4歳の息子の母、妻、看護師として何足もの草鞋を履いている自分は毎日が充実しているけれども慌ただしく、恥ずかしいながらがん検診の事なんて頭によぎりもしませんでした。
そんな私の意識が変わったのは第2子3子に双子を授かって帝王切開をした時からだと思います。
オペ室を出る時、主治医が小さな瓶を持ってきて見せてくれ、左の卵巣の上に5mmの白い異物があったとのことで、それを病理に出してもらいました。幸い、結果は悪性のものではなく副卵巣のようなものでした。しかし、結果が出るまでは「悪性のものだったらどうしよう。生まれてすぐのこの子たちはどうなるんだろう。」と時々、不安な気持ちになりました。
双子を出産するための帝王切開で子供を取り出すという手技だけに集中するのではなく、その周辺の臓器も丁寧に見てくれて早期に発見してくれたことを本当に感謝しました。
その主治医とは私の尊敬する女医さんで学生の時に実習でつかせていただいた医師です。
いつも心の通った診療に「あ~、やっぱり先生にお腹を切ってもらって良かった~。」と思いました。その先生からがん検診を勧められました。「1年に1回くらいはがん検診受けに来て顔見せてね。」と。それから誕生日には検診を受けようと決めたのでした。
がん検診って必要だとは思っても看護師をしている私でも敷居が高いような気がして、一般の方ならなおの事、身構えてしまうような気がします。
特に、女性特有の癌の検診は不安感や羞恥心も伴って検診への足が遠のいてしまうのではないでしょうか?私の場合は、信頼できる医師の気負いのない優しい言葉のお陰で検診に行ってみよう!と思えました。全ての女性に、このような医療の安心を感じてもらえたらもっと検診を受ける方が増えるような気がするし、医療の現場に立っている自分はその医療の安心を提供しなければとも思います。
最近、女性の癌に有効なワクチンが日本でも接種可能になりました。
これは、子宮頸癌に有効な予防ワクチンで、ヒトパピローマウイルス(HPV)に有効なワクチンです。このワクチンは子宮頸がん発症と関係のあるHPV16型とHPV18型と呼ばれる2種類のウイルスに効果があるということです。3回の接種が必要なこと、金銭的な負担もあるため、もう少し安価であればたくさんの人が接種に赴きがん予防の意識も高まるのではないかと考えます。
私は、来月お休みを取ってワクチンの説明を聞きに行き、接種する予定です。
双子は2人とも女の子なので、女性に産まれたことの喜びとともに、女性特有の癌もあることや有効な予防法があること、検診の大切さをこれから育っていく過程で教えてあげれたらいいなぁと思います。医療の分野は日進月歩なので、この子達が大きくなるころにはもっと癌で悲しむ人が少なくなるかもしれません。そうなるといいなぁという思いで、子供たちのかわいい寝顔を見て、この文章を書いています。
私はこのかわいい子供たちとずっと一緒にいたいし守っていきたいから、これからも自分のメンテナンスとして誕生日には検診を!続けていきたいと思います。
この自分の決意と体験を通じて1人でも多くの人ががん検診に足を運んでくれることを願います。あなたも、1つ年をとる自分へのご褒美として、「誕生日には、がん検診を!」はじめませんか?